中村とうようコレクション展へ |
7月下旬に亡くなった、中村とうよう先生のコレクション展を見るために。
彼が創ったニュー・ミュージック・マガジンという雑誌がなければ、私は音楽の道に進まなかったと思う。この雑誌のおかげで、どれほどたくさんの音楽の存在を知ることができただろう。そして、世界は広く、耳にしたことのない音楽がどれほどたくさんあるかを思い知らせてくれたのも、この雑誌を、とうよう先生を通じてだった。
展示されていたのは、SP盤レコード、世界諸地域の民族楽器、そして1969年の雑誌創刊の頃から彼が編集長を務めていた時期の印象的なLPのジャケット・・・彼が大学に寄贈したというぼう大なプライベート・コレクションの、ほんの一部だそう。
アジア、中東、アフリカ、中南米の、聞いたことはあっても多くは見たことのない珍しい楽器の数々が、静謐な空気の中に陳列されていた。そこには、欧米至上主義的、資本主義経済の価値観が見向きもしなかった地域やそこに根づく人々の生活や文化への、先生の温かい視線が、ここかしこに感じられて、胸が熱くなった。
「ありがとうございました」、そして「さようなら」と、心の中でつぶやいた。
ご本人の編纂で、というのは無理になってしまったけれど、この先も何らかの形で、そのコレクションを拝見できる機会がありますように。
小平市にある、広大な「むさび」のキャンパス。
美大は、実は憧れでした。
またいつか、来ることがあるといいな。