金木犀 ムラカミさんの本 |
あれだけ多作だと、もちろん全部が全部好きというわけではなく、好きなものは沢山あり、そうでもないものも、少しはある。
『ノルウェイの森』はダメでした。でも一応、こないだ映画をDVDで観たのだけど、あ、これは観なくてもよかったかなって(トラン・アン・ユンなのにね;)。まあでも、観なければよかった、というわけでなかったけれど(^^;)
エッセイや紀行文は、例外なくすべて好きです。村上朝日堂とか、地球のはぐれ方(共著だけど)とか、『もしもぼくらの言葉がウイスキーであったなら』とか『辺境・近境』とか『シドニー!』とか、ああ、きりがない・・・・
で、遅まきながら、最新刊。ananに連載していたエッセイ集。
あ~楽しい、おもしろい。村上さんのエッセイはいつも、1篇ごとに最低1回、大抵は2回以上の“くすっ”がある。取るに足らないような些細な、でもちょっと気になること、そして、ちょっと得した気分になる、さまざまのこと。たとえば、大きなカブにまつわるエロティックなエピソードや、カウアイ島にいるアボカドおばさんのこと、彼を信奉するスペインの大学生のことや、ジョージア・オーキーフとパイナップルのドール社との顛末、など、など、など。。。
そして、彼の本を読んでいる間、かならず末端の読み手である自分の中にまで、ムラカミ的比喩癖・比喩ハイみたいな症状が発生する。その一人遊びがまた、楽しい 事例を挙げてもお里が知れるつまらなさなので、やめときますが、ふはは(^^;)
読み進んでいて、妙な言い方だけど、この文章が恋人だったらいいなと思うのです。筆者ご本人は、当人に言わせれば大しておもしろくない人だそうですが、まあそれは置いといても、こういう文章だったらいつも楽しませてくれるしモメることもなさそうだし(笑)、ユーモラスでおだやかで、ちょっとだけシニカルで。って、これも伝染比喩癖の一種?バカよね~;
今朝、実家からの帰り道。いい香りの方向を見上げると・・・・
金木犀でした。
低木かと思っていたら、ずいぶん大きくなるのね。
雨の空が、少し明るく見えました。