「マリア・ラーション 永遠の瞬間」 ~ 北欧の映画祭で |
毎年この時期に開催される、≪トーキョーノーザライツフェスティバル≫。ふだん、観られるチャンスが多くない北欧映画の、年に1度のお祭りだから、1本だけでもと思って出かけたのでした。
『マリア・ラーション 永遠の瞬間』。勘だけで決めて、大当たり。
これはネットで拾った、英語版のポスター。
20世紀初頭のスウェーデン、貧しい家庭の主婦マリア。ひょんなきっかけで手にしたカメラを軸に、ドラマは静かに展開していきます。
冬の朝日を受けて光る氷柱、部屋に迷い込み、外へ出ようと羽根を震わせる窓辺の蝶・・・厳しい境遇の中にあっても、美しいものを美しいと素直に感じ、被写体と交歓する彼女の澄んだ目。そのことに、強く、深く、共感しました。そして、写真というものが、生きる力に寄り添うやさしい存在であることにも。
ヤン・トロエルという老監督の演出の力量にも圧倒されました。
今年のフェスのイメージヴィジュアルも、才能ある若手画家、田中千智さん。人があふれかえる会場のロビーで、この原画だけが、しんとして、温度が低めでした。
思ったより小さかったけど、大きな存在感が。